
こんにちは!薬剤師の上田です。
今回は保湿剤の使い方について説明させていただきます。
保湿剤をクリニックで処方して貰う機会は多いと思いますが、実は一つ一つに少しずつ違いがあります。
こちらの記事ではそれぞれの保湿剤の違いについて説明させていただきます。
それぞれに良い点があり、おすすめの塗り方もありますので、その点についても説明していきます。
1ワセリン製剤
主な商品名:白色ワセリン プロペト など
石油から精製して作られる塗り薬であり、刺激感がなく副作用もでにくいため高頻度で使われる薬です
成分自体に水分を集める作用はないが、皮膚表面を保護する事ができるため、皮膚の乾燥を防ぐことができます。そのためお風呂上がり5分以内の使用を心がけましょう。※水分を逃さないため
また、ワセリン製剤は昔からある薬であり安価なため利用しやすいです。
ワセリン製剤の違いはそれぞれの製品ごとに純度が違っていることがあります。
純度高 サンホワイト プロペト 白色ワセリン 黄色ワセリン 純度低
左に行くほど純度が高いです。
敏感肌の人やアトピーの方などはできる限り純度の高いものを使うことをおすすめしております。※プロペトかサンホワイト
ただしサンホワイトは医療用医薬品にはなく、必要な場合は市販で販売されているものをご購入ください。
おすすめの使い方
・薄く塗りすぎると効果が弱まる。できればたっぷり塗る。
・刷り込むようには塗らない 優しく塗りましょう
2ヘパリン類似物質製剤
主な商品名:ヒルドイドソフト軟膏 ビーソフテンクリームなど
ヒルドイド軟膏などのヘパリン類似物質製剤はワセリンと違い
・水分を集める作用がある
・血行促進作用がある
といった特徴があります。また刺激感も少なく、比較的副作用が少ない商品のため、顔も含めた全身に使用可能です。
こういった優れた特徴がありますが、その特徴のせいもあり、良くない問題も起こりました。
ヒルドイド化粧品利用問題です。
不必要にヒルドイド製剤を医師に処方してもらい
それを化粧品として利用、インスタグラムに公開する
といったことがありました。
医療費は基本的に3割負担の方の場合7割は国の税金により賄われています。
現在でも医療費は年々増加傾向
2018年で42兆6000億円であり
こういった医療費の不正利用が問題視されました。
そのためヒルドイド製品の保険適応外の是非も話題に上がりましたが、もし適応外になってしまうと、本当に必要な方に薬が利用されないことになりかねません。
薬は適正使用の範囲で利用しましょう。
3尿素含有製剤
主な商品名:ケラチナミンコーワクリーム パスタロン軟膏
尿素含有製剤も、保湿目的でよく利用される薬です。
特徴としては
・水分を集める
・角質を柔らかくする
といった作用があります。
角質を柔らかくするため、手や足など固くなった皮膚に使うことが多いです。
10% 20% の製剤がありますが
配合濃度が高ければよいわけではないので注意が必要です。
その理由は、尿素製剤は濃度が高くなるほど刺激感を感じることがあるためです。
決して顔に使用できないというわけではありませんが、基本的には手や足など角質が厚いところに使用することが良いでしょう。
終わりに
以上が保湿目的でよく使われる薬の説明になります。
どれも比較的安全性は高いと言えますが、決して100%副作用がでないと言い切れるわけではありません。
湿疹や炎症ができた
などの報告も少数ですがあります。
使用の際は人からもらったものを使用する
といったことは控え、医師とよく相談の上使用しましょう。
どうしても必要な場合は
現在は市販でも販売されているのでまずは一度ご相談ください。