なぜ抗生物質を飲み切るのかについて

抗生物質を飲みきるように指示させてもらっています

皆さんは調剤薬局で薬をもらうとき

「こちらの薬は最後まで飲みきってください」

といわれることはないでしょうか?

実は重要な指示です。

結論から言うと 

「耐性菌を作らないようにするため」

です。

耐性菌について

薬剤耐性菌とは以下のように定義されています。

細菌は増殖の速度が速いので、人や動物よりも桁違いに速く進化(遺伝子が変化)します。細菌の周りに抗生物質(抗菌薬)があると、たまたま進化の中でその抗生物質(抗菌薬)に抵抗性を身につけた細菌が多く生き残ることになります。このように細菌が抗生物質(抗菌薬)に抵抗性を身につけ、抗生物質(抗菌薬)が効かなくなることを薬剤耐性(Antimicrobial resistance:AMR)と言い、薬剤耐性(AMR)を身につけた細菌を(薬剤)耐性菌と言います。

抗微生物薬適正使用の手引き|厚生労働省(厚生労働省健康局結核感染症課)

つまり

抗生物質は効きにくくなった菌のことです。

ではなぜ耐性菌が問題なのかというと

いざというとき抗生物質を使えない状況になってしまう

という問題が発生します。

日本での薬剤耐性菌の死亡数は約8000人!?

今回の検討対象とした薬剤耐性菌2種の菌血症に限っても、合わせて約8,000名が死亡しており、日本でもAMRが大きな被害を及ぼしていることが明らかとなりました。

http://amr.ncgm.go.jp/pdf/20191205_press.pdf

MRSA菌血症 とフルオロキノロン耐性大腸菌血症で年間約8,000名が死亡

http://amr.ncgm.go.jp/pdf/20191205_press.pdf

米国では毎年280万人以上の抗生物質耐性感染が発生しており、結果として35,000人以上が死亡しています。(日本語訳)

The biggest antibiotic-resistant threats in the U.S. https://www.cdc.gov/drugresistance/biggest-threats.html

上記のように耐性菌2種類に限っても、このような数に上っています。

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